JIMTEFとは

理事長からのご挨拶

国際協力の必要性-「恩返し」と「国益」-

理事長 小西 恵一郎

私は、日本の国際貢献の大儀は「恩返し」と「国益」にあると考えています。

西暦607年には、小野妹子が遣隋使として、630年には、犬上御田鍬が遣唐使として派遣され、当時の中国大陸の成熟した文化を学び今日の日本国の建設の礎としました。1923年の関東大震災のときには、クーリッジ米大統領は市民からの多額の募金を援助して日本の復興に寄与しました。また第二次世界大戦後の日本はまさに灰燼の中にありましたが、その直後の1946年、ガリオア(占領地域救済政府基金)・エロア(占領地域経済復興基金)資金の膨大な援助がありました。さらに1953年には、世界銀行から多額の低金利の融資を受けました。ユニセフ(国連児童基金)は戦後伝染病や栄養失調に苦しむ日本の子供たちを救ってくれました。

このように国際機関や米国のNGO(非政府組織)などが献身的に救援してくれたおかげで未曾有の復興を成し遂げ、今日、世界に冠たる経済大国に発展し、世界最高水準の援助国になったのであります。

日本国民の今日の繁栄は、世界の多くの国や民族のご支援の賜であり、今度は私たちが開発途上国へその恩返しをしなければならないと思っています。

もう一つの視点は、国際協力を日本の外交手段の大きな柱にしなければならないということです。

2016年5月開催のG7伊勢志摩サミット・先進国首脳会議において国際保健の前進が決議され、政府も国際保健を日本外交の主要課題に位置付けています。全ての民衆が基礎的保健・医療サービスを受けられること、即ち、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジUHC(Universal Health Coverage)の達成をオールジャパンで推進しています。国連総会で採択されたSDGs(持続可能な開発目標Sustainable Development Goals)に向け、今こそ世界に誇れる日本式医療サービスを海外へ輸出して国際貢献に励しんでいきたいと決意を新たに致しています。

もちろん国際協力は次世代へ残す宝であり、同時に今を生きる私たちの責任でもあります。この国際協力の拡充により、開発途上国が経済発展し、より安定した市場と投資の確保が可能になります。それは日本の経済発展につながります。
このような世界経済の安定が日本の総合安全保障の一環として日本の国益になると考えています。

したがって、日本の国際協力は「恩返し」と「国益」の両面から推進する必要があります。

本財団は、個人・企業・団体からの貴い寄附金をはじめ外務省及び政府関係機関からの公金で事業を展開しています。

私たちは、国際貢献と言えども寄附金や血税を無駄に使ってはいけないことは肝に銘じております。有効かつ効率的な開発援助をしてこそ、寄附者並びに納税者のご理解が頂ける経済協力が実現できるものと固く信じています。

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